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太陽誘電(6976):500億円のユーロ円CBを発行

株式会社DMM.com証券

案件概要

  • 発行額:500億円
  • 年限:7年
  • 転換価額:4,360円(転換プレミアム10%固定)
  • 募集価格:額面に対して105%、発行価額:額面に対して102.5%
  • ゼロクーポン
  • 3年目以降130%ソフトコール条項
  • 潜在株比率:発行済株式数(自己株除く)の9.2%相当。出来高の8日分
  • 資金使途:設備投資資金
  • 発行開示と同時に[SMBC Nikko Capital Markets Limited 及び Wessex Limited による太陽誘電株式会社 (証券コード 6976)転換社債型新株予約権付社債の買付けに関するお知らせ]を開示している。これは、主幹事証券が、CBを転換オプション部分と債権部分に分離して販売(リパッケージ)するための手段として一般的に用いられる手法(アセットスワップ)だ。(詳細は、フェローテックの事例を参照
    • 今回500億円規模のCBを発行する予定だが、半分程度(場合によってはそれ以上)はリパッケージされてオプション部分はCBヘッジファンドに、債権部分はABL(アセットバックローン)としてメインバンクかつ主幹事の系列銀行であるSMBCが提供するものと思われる

転換価額をプレミアム10%に固定し、募集価格を仮条件設定する狙いは?

  • 通常のCBは、募集価格を額面に対して102.5%で固定して、仮条件レンジを転換プレミアムで設定する。例えばプレミアム20-30%のレンジで投資家宛にマーケティングして転換価額を決定する。人気化するとプレミアムが高くなるので、より転換しにくいCBとなる
  • 今回のCBは、転換プレミアムを10%に固定して、募集価格を仮条件レンジに設定して投資家宛にマーケティングしている点が大きな特徴。人気化しても募集価格が高くなるため、転換の可能性は変わらず、期中により大きな発行差益を享受できることになる
  • ポイントは
    1. 転換価額を低めに設定することで、期中の転換可能性が高くすることが可能
    2. 額面を超過する払込金額となるため、実質マイナスコストでの調達となる。本件の場合、500億円✖️102.5%=512.5億円の払込だが、7年後の償還金額は500億円となる
    3. 差額の12.5億円は発行差益となり、日本の会計基準では毎期益金が計上される

CBを発行した背景の考察

  • 当社は、設備投資にかかる資金需要は旺盛だが、今期の業績予想は大幅減益予想。今年の株価パフォーマンスはTOPIXをアンダーパフォームしており横ばいで推移している。かかる状況下、即時希薄化を伴う公募増資を実施するハードルは相応に高いといえよう
  • 今回のCBは、転換されるのは早くても3年後だ(ソフトコール条項発動開始時期)。500億円の資金・資本増強を実現したいが、即時に希薄化する公募増資は、株主への説明が難しい。一方、2025年を最終年度とした中計の成長・設備投資戦略と関連付けてCBを発行するストーリーは既存株主に説明がしやすい(即時希薄化せず。かつ株価が上昇しないと希薄化しない)
  • また、株価が低迷し、転換されなかった場合でも500億円を7年マイナスコストで調達できている。金利先高感がある中でまとまった金額を低利調達できるCBはメリットが大きいと言える

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