- 本日は、ICソケットを製造販売するエンプラスと山一電機を比較しました
- 客観的に比較しておりますが、筆者はエンプラスの株式を保有(直近の株価下落を受け、一部は損切り済。一段の下落があった場合は、全量損切りする可能性がある状況)
- その点を考慮の上、ご覧ください。なお、銘柄の売買を推奨するものではありませんのでご留意ください
主要な指標比較(株価指標は7/21現在):株主還元方針に大きな相違
- 下表の通り、事業規模も収益性も似通った両社ですが、株主還元政策で大きな相違あり
- エンプラスの配当性向は10%代と極端に低い
- その影響もあり、エンプラスの株価は山一電機対比でディスカウントされている可能性
- 日産のCFOが来季の配当性向を来期は30%(今期は18%)に引き上げる旨公表したところ、当社の株価は大きく上昇
- 日産と単純比較はできないが、エンプラスについても株主還元方針について前向きな変化があれば、市場から再評価されるポテンシャルを有している
エンプラス | 山一電機 | |
時価総額 | 507億円 | 493億円 |
PER(今期) | x9.2 | x10.33 |
PBR(前期) | x0.99 | x1.28 |
ROE(今期予想) | 10.7% | 12.3% |
配当性向(前期) | 11.5% | 30.1% |
予想配当利回り | 1.15% | 2.92% |
経常利益率(前期) | 20.8% | 20.1% |
株主資本比率(前期) | 85.3% | 72.9% |
現預金/総資産(前期) | 38.0% | 34.2% |
株主還元目標値 | 定量目標値なし | 配当性向30% 総還元性向40%以上 |
株主構成の特徴 | オーナー系 上位株主はオーナー社長 | 非オーナー系 上位株主はノルウェー銀行等 |
大株主の状況:安定株主主体のエンプラス、機関投資家が多く保有する山一電機
- 時点の異なる大量保有報告書ベースでの比較となるが、山一電機は大手機関投資家が上位株主に連なる
- 直近Norges Bankが5%保有に伴い大量保有報告書を提出
- 時価総額の割に機関投資家保有割合は高く、事業そのものは機関投資家にも人気があると言える
- 一方、エンプラスは(機関投資家から敬遠されがちな)買収防衛策を採用していることもあり、相対的に機関投資家の保有比率は低くなっている
- 裏返すと、前述の株主還元策の強化や買収防衛策を撤回した場合、潜在的に機関投資家が保有する余地は大きいとも言える
株価の推移(出所:TradingView)
- エンプラス(青)、山一電機(オレンジ)、緑(TOPIX)の推移は以下の通り
- 1Q決算発表を控え、エンプラスと山一電機の年初来騰落率はほぼ同じ水準となっている
- 半導体業界は足元調整局面を迎えているものの期待先行で両社ともTOPIXをアウトパフォーム
- ただし、足元の半導体関連企業は、決算を受けて株価が下落する事例が相次いでいることから警戒が必要
- 目先は両社の業績パフォーマンスの差異に注目だが、中長期にはエンプラスの株主還元方針の変化も相対株価パフォーマンスに大きな影響を及ぼしそうだ
まとめ
- 短期的には株主還元策が充実しており、中計でも明確な定量目標を設定していることから、山一電機が優位か
- 長期的にはエンプラスの株主還元方針や買収防衛策の方針変更に期待(応援)したい
- 上記を踏まえ、エンプラスから山一電機への乗り換えも今後検討していきたい