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IPO,PO関係
Speee(4499)公募売出し(PO):ステーブルコイン関連事業にかかる投資を加速しつつ流通株式比率25%超を実現するためにPOを実施
スタンダード上場維持基準クリアのためにPOを実施
- 当社は東証スタンダードに上場(2020年にIPO)しているが、流通株比率が17.7%となっており、上場維持基準(25%)を満たしていなかった。25年9月末までに基準をクリアするとしていたため、何らかの資本政策を打ち出すことは、ある程度想定されていたと考えられる
- 本件実施により流通株比率は17.7%から29.4%程度に上昇する見込み。これによりスタンダードの上場維持基準はクリアする見込み
- また、本件後の経営陣の持分は81%から69.5%に低下する見込み
- 引き続き3分の2以上の議決権を保有するためガバナンスへの影響は限定的といえる
資金使途は金融DX事業(ステーブルコイン事業)にかかる先行投資費用
- 今回調達する資金(約40億円)は、現在新規事業として進めているステーブルコイン送金事業(SC事業)への投資に充当する予定
- 当社は2024年9月5日にSC事業におけるProject Paxの始動に関する開示を行なっている。以降株価は大幅に上昇している
- 9/5終値は1,648円。発行決議日(1/14)の終値は5,380円まで上昇(4ヶ月で株価は3.2倍に!)
- エクイティ・ストーリーがSC事業への先行投資という点は、市場からも理解が得られやすい
なぜこのタイミング?については疑問が残るが、、
- 当社は9月決算企業。1月は株主総会明けのウィンドウ(3月決算企業では7月に実施する日程に該当)。受渡日後に1Q決算発表を予定している
- 今回のやや疑問なのは、なぜこのタイミングなのか?という点だ
- 直前の1/10にSC関連事業の準備状況にかかる開示を行なっている。暗号資産の不正流出問題を受けて関係当局との手続き・プロセスに時間を要している趣旨の内容だ。要は不正流出問題を受けて、当初年内の商用化を目指していたプロジェクトがやや遅れるかも?ということだ
- POを実施するうえで、事前に期待値コントロールが必要であったため、あらかじめ開示した?とも受け取れる。であれば、もう少しプロセスの動向を見極めたうえでPOを実施してもよかったのでは?前述の流通株比率は9月前に達成すればよいので、半年程度の猶予はあったはずだ
- 市場環境が良好なうちに確実にPOを実施することを優先したのだろう
- なお、他社の不正流出問題を受けた当社SC事業への影響については、引受審査で細かく確認をしているはずだ。事業自体への直接的なマイナスの影響というよりは、商用化へのプロセスをより慎重に行う必要がある=想定より時間がかかるだろう。その点を、開示しておけばこのタイミングでPOをしても(引受審査の観点から)問題ないと判断したのだろう(そもそも今期の業績予想にも当該事業の商用化は織り込んでいないため、投資家が誤認するリスクも小さいと判断)
Project PAX
- 当社のDX事業の商用化を担う重要なプロジェクトであるPAX(ラテン語でPeaceという意味らしい)
- Progmat(3メガグループが出資)、スイフトと連携している点は非常に心強い。商用化できた場合には、潜在的な市場規模(いわゆるTAM)は非常に大きい
- 当社の決算資料によると、国際送金市場の市場規模は2023年の190兆ドルから2030年には約290兆ドルに成長すると予想されている
- ステーブルコイン発行額は、2023年の1250億ドルから2028年には2.8兆ドルに急成長する予想
- 商用化が実現でき、ある程度のシェアを確立できた場合、大きな収益をあげる可能性のある夢のあるプロジェクトだ
- ただし、現時点では収益化の時間軸、収益化できた場合の関係者間の収益シェア(非開示)など全くわからないため、定量的にSC事業の事業価値を評価するのは極めて難しい
- これらを踏まえ、当社の時価総額574億円(1/14基準)が適正なのかどうか?判断が難しい案件だ
- 当社の今期業績予想は(先行投資の影響で)利益ゼロのため、PERの指標も参考にならない
- バリュエーションの難しさに加え、決議日の夜間のPTSはストップ安水準となっており、条件決定日にかけて株価のボラティリティが高くなる点にも留意が必要だ
- また、信用銘柄で、条件決定日が1/21の場合、受渡日は7営業日後の1/30を予定している(繋ぎ売りによるヘッジもできない)
- 従って、長期投資と割り切って当社のSC事業の夢を買うかどうか?で判断することになりそうだ
-IPO,PO関係
-PO, Speee, 公募, 増資, 売出