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テスホールディングス(5074)がライツ・オファリングを公表

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ライツオファリングに関して、一般投資家が最低限知っておいた方が良いポイントを下記の通りまとめております。本日は、ライツ行使後に想定される理論株価の考え方について主に説明しています。実際にどのように価格推移したかについては、本オファリング終了後に改めて検証の上、アップデートする予定です

オファリング概要(一般株主に関係する部分)

  • ライツ割当基準日:6/30(権利落日)(権利付最終日は6/28)
  • ライツの割当比率:1株につき1個(100株保有していれば100個のライツが割当られる)
  • ライツ行使時の交付財産と行使価格:ライツ1個につき1株交付。行使価格は400円
  • ライツ権利行使期間:7/3から8/24
  • ライツの売買可能期間:7/3から8/18(東証に上場され売買が可能)
    • 行使をしない場合、8/18までにライツを市場で売却しないと無価値になるので要注意

ライツ・オファリング(RO)とは何か?

  • 株主に対して、新株予約権(ライツ)を無償で割当てる(オファリング)こと
  • 公募増資(PO)は、既存株主に限らず幅広い投資家から資金を調達する手法
  • それに対してROは、先ずは既存の株主に対して投資機会を提供することがポイント
  • 株主は、割当てられたライツに関して、以下のいずれかの選択肢を取ることが可能
    1. ライツを行使:400円を払込み、新株を時価からディスカウントした価格で取得可能
    2. ライツを市場で売却:金銭的対価を得ることが可能
    3. そのまま放っておく(最後に発行会社が買い取るが、本件の場合実質無償で買い取る。極めて不利なため、注意が必要)
  • ライツの行使は事務が煩雑なため、大多数の一般株主はライツを市場で売却すると想定される

ライツ・オファリング後の理論株価はどのように計算するのか

(権利落前株価を1,014円と仮定した場合の計算式)

  • 1️⃣ ライツ前の時価総額:発行済株式数✖️株価=35百万株✖️1,014円=35,841百万円
  • 2️⃣ ライツで調達する金額:35百万株✖️400円=14,086百万円
  • ライツ実施後の理論上の時価総額は1️⃣➕2️⃣、即ち3️⃣ 49,927百万円となる
  • ライツ実施(全量行使)後の発行済株式数は4️⃣ 70百万株
  • 従ってライツ割当の権利落後理論株価は3️⃣➗4️⃣=707円と計算できる
  • この707円のことをTERP(Theoretical ex Rights Price:権利落後理論株価)という
  • ライツの行使価格が400円であることから、ライツを行使した場合TERPと400円の差額307円が利益となる
  • つまりこの期待利益である307円がライツの理論価値であり、株主は市場で307円程度で売却可能
  • 既存株主から見ると保有株は1,014円から707円に下落するが、割当てられたライツを307円で売却できれば、707円➕307円=1,014円。よって株主の経済価値は毀損しないことになる
    • なお、割当てられたライツに関して、放っておくと無価値になるため注意が必要
    • 実際は、日々株価とライツ価格が日々変動するため、享受できる経済対価も変動する点に留意
  • 希薄化率20%の公募増資をした場合、希薄化を100%織り込んだ理論株価は1,014円から811円に下落する。それを踏まえるとROは株主に配慮した資金調達であることがお分かりいただける

ライツオファリングで資金調達が頓挫するケースはあるのか?

  • 本件における理論上の株価は707円であるが、それに対してライツの権利行使価格は400円
  • 従って、ライツの権利行使最終日までに株価が400円以下に急落した場合、経済合理性から誰もライツを行使しなくなる=資金調達が実現できなくなる
  • 当該リスクを極小化するため、ライツの行使価格をTERPから十分ディスカウントした水準に設定しておく必要がある
  • 本件の場合、ライツの行使価格はTERPからのディスカウント43.5%と深く設定されている。よって、余程の急落がない限りライツは行使される可能性が高い
  • 先行事例では、TERPディスカウントを40-50%程度に設定、割当てられたライツの80%以上は行使される傾向にある
  • 問題はライツの権利行使最終日までに行使されない未行使分をどうするかだ
  • 本件では大和証券がライツを買取って行使することをコミットしている
    • ライツ全体の30%までの買取と権利行使をコミット
    • 従って、基本的には全てのライツが行使される可能性が極めて高い
    • これによって発行会社は、400円✖️35百万株✖️0.955=13,370百万円を確実に調達できる
    • 0.955をかけるのは大和証券へのコミットメント手数料4.5%を支払っているため
    • 大和証券は約6億円の手数料を対価に約42億円迄は未行使が発生しても買い取ることをコミットしていることになる

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