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テスホールディングス(5074)のライツ・オファリング:実際のライツの価格動向について分析(第5回)

株式会社DMM.com証券

テスホールディングスのライツオファリングですが、ライツが上場してから5週間が経過しました

需給面で厳しい株価状況が継続しておりますが、改めて現状を整理しました

また、足元の下落要因について受給悪化要因以外に考えられる要素、その場合株価反転に求められる要素についても合わせて考察しました

ライツの行使進捗状況は51.4%、会社関係者は8/28まで1日当3.7万株売却中(一定の需給悪化要因に)

  • 8/1時点のライツの行使株数は1,810万株(全ライツの51.42%)
    • ほふり(証券保管振替機構)にて新規記録された株式総数は8/4時点で1,869万株(全ライツの53%)
  • 経営陣の行使状況は下表の通り。1,990万株のうち1,063万株は行使を公表済
  • 残りのライツ(900万株相当)について可能な限り行使する旨公表している
  • 大量保有報告書で把握できる経営陣による市場売却株数は普通株が125万株、ライツが4.7万個
    • 普通株に関しては、現在も売却中であり、行使期日である8/28まで1日あたり3.7万株を売却する方針(ただし株価が500円を下回った場合は売却を停止)
    • 125万株の売却資金でライツを行使すると思われるが、900万株相当のライツを行使するには資金が足らない
    • 足らない資金は、株担保ローンを活用するものと推察される

バイオマス発電事業の採算性に対する不透明感を払拭できるかが今後の株価反転のポイントになりそう

  • ライツオファリング実施前はPER x14程度で評価されていたが、足元は x11水準にまで低下
    • 主な原因は、ライツオファリングに伴う需給悪化要因と想定される
  • 今回の増資資金は、伊万里バイオマス発電プロジェクト(総額320億円の投資案件)に充当される予定。この点もディスカウント要因になった可能性
    • 足元燃料価格の上昇でバイオマス発電の採算確保には不透明感がある状況
    • その結果、プロジェクトファイナンスによるリスクシェア(共同スポンサーの参画)も難しくなったことから、すべて自前でリスクを取る方針に変更
    • 当社の総資産は1,000億円程度。320億円の設備投資はBSに与えるインパクトも相応にある
    • そのような状況で、多額の投資をバイオマス発電事業に投じるため、短期的には市場から嫌気された可能性
  • 一方、バイオマス発電事業にかかる当社の成長ストーリーは以下の通り
    • 当社が開発中のバイオマス燃料は従来のものに比べ、安価に生産が可能とのこと。開発中の新燃料を自前調達できれば、コスト競争力の向上による高いリターンが期待できる
    • ただし、現時点で、新燃料を伊万里プロジェクトに活用できるのかは未定
  • 現状株価水準は、バイオマス発電を手がけるイーレックス(9517)、TRE HD(9247)と同水準
    • 両社の株価よりも評価されるためには、新燃料の伊万里プロジェクトへの活用有無が鍵を握りそうだ
  • 今後、バイオマス新燃料の開発状況や伊万里プロジェクトへの展開について積極的な開示を期待したい
  • 以下はライツが全量行使される前提でのPER/PBRマトリックス
    • 来期予想PERの算出に際して来期予想当期利益を33億円と仮定した(コンセンサス予想)
    • 8/14の決算発表の来期業績予想次第では、株価が大きく変動する可能性もある

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