IPO,PO関係
インフロニアHD(5076):日本風力開発の買収を目的にユーロ円CB600億円を発行
- 本CBは、JCRよりESG認証を取得しており、グリーンCBとして起債している(グリーンCBは、過去に住友林業の事例あり)
- 当社は、昨年12月にベインキャピタルより日本風力開発の全株式を取得。これに伴い2,184億円の借入を実施していた。今回のCBは、日本風力開発の買収資金の一部に充当する予定
- 今回のCBは、以下の背景により、サプライズとなった可能性がある(翌日の株価は9.3%下落)
- 当該M&A公表後、当社の株価は下落したが、今年の2月に買収資金の調達手段として、1,500億円の社債型種類株を発行する旨を公表していた
- これにより、公募増資などによる希薄化リスクが後退したと市場は認識したと思われる(差額の600億円については、借入金で賄うと認識したはずだ)
- そこに突如CBを起債することを公表。CBは転換しない限りは負債だが、潜在的には希薄化する調達手段
CB発行前に社債型種類株の発行登録1,500億円を実施していた
- 2024年1月に1,500億円の社債型種類株式の発行登録を行なっている
- 本種類株は、6月に予定している株主総会承認後に募集される予定だ。商品設計は、基本的に昨年ソフトバンク(9434)が発行したものと類似している
- 発行する予定の種類株の特徴は以下の通り。基本的には5年の劣後債と同等の商品設計となる。会計上は株式のため純資産に計上される一方、会計上は格付機関(JCR)より50%の資本性の認定を受ける予定だ
- 従って、2,100億円の買収資金のうち、750億円は資本調達を実施することになる。これにより、大型買収に伴う格下げリスクを回避することが可能となる
- ただし、資本性50%の評価を認定されるためには、5年後の金銭償還時に、本種類株と同等の資本性を有する調達によるリファイナンスが必要となる
- 今回発行するCBの行使期限は2029年3月16日となっている。つまり、順調に転換すれば2029年3月期時点で600億円の資本増強が実現できている。おそらくCBが転換されていれば、上述の社債型種類株については、同等の資本性資金でのリファイナンスが不要になると思われる
- このようにCBとハイブリッド(劣後債など)を組みあわせて調達することにより、将来必要とされるハイブリッドのリファイナンスを回避する財務戦略を採用した事例としては、NTNがあげられる
- 一般的に種類株を発行する場合、総会付議の1ヶ月程度前に公表する。本件の場合、総会付議日は6月25日のため、5月頃に公表する日程となる。ところが、当社は2月に公表しており、なぜこんなにも早く公表したのか疑問であったが、今回のCBで理由ははっきりした
- CBの募集に際しては、未公表の重要事実(インサイダー情報)は事前に公表しておく必要がある
- 種類株1,500億円の発行は、インサイダー情報に該当する。従って、CB発行前にあらかじめ発行登録して市場に浸透させる必要があったためだ
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