IPO,PO関係
太平電業(1968):ESG認証プロジェクトへの投資を目的にMSワラントを発行
MSワラントの発行概要
- MSワラントの資金使途のうち、将来のMA資金以外については、日本総合研究所からESG認証を受けたプロジェクトに充当する
- ESG認証を取得したうえでエクイティ・ファイナンスを実施する事例としては、テスホールディングスによるライツオファリングが挙げられる
- 二本立てとしているが、第2回のワラントについては、今後発生するバイオマス設備投資資金で、日本総合研究所からESG認証を取得できることを前提に行使が可能
- 一般的なMSワラントの行使期間は2年(〜3年)だが、本件は5年と長期間に設定している点が大きな特徴
- 通常のMSワラントの発行規模は、1日平均出来高の20-30日程度とすることが多いが、本件は100日を超える水準
- 流動性が低いため、200万株の行使を完了させるには相応の株価インパクトが発生することが懸念される。当該懸念を極力緩和するため、通常よりも行使期間を長く設定したと推察される
- 通常のMSワラントは発行決議日に下限行使価額を決める(例:決議日前日終値✖️70%)が、本件は発行決議日に3Q決算を公表している。当該決算情報を株価に反映させた上で発行条件を決める必要があるため、条件決定日を2/16〜2/20としている
2/16に下限行使価額を条件決定
- 下限行使価額は、3,101円に決定(2/15の終値4,430円✖️70%)
- エクイティ・ファイナンスを実施すると株価は下落する傾向にあるが、本件は決算発表(➕増配)と同時に公表された影響もあり、株価は上昇
- 公表日株価4,290円に対して2/16の終値は4,510円。5.1%上昇した
MSワラントを実施する背景
- 当社は24/3期〜26/3期の新規中計を公表している。新中計では、売上高を1,200億円から1,500億円に拡大することを目標に掲げている。成長戦略の柱の一がバイオマス発電事業を中心とした新規事業(グリーンプロジェクト)だ
- また、当社の株価は(ROEが10%を超えているにもかかわらず)PBR1倍未満となっている。当社としては、成長投資と積極的なIRで投資対象としての魅力を引き上げる方針だ
- 今回のファイナンスではわざわざESG認証を取得している。これは資本市場に対してESG銘柄をPRしたかったと思われる
- 一方、PBR1倍割れの水準で増資を選択したのはなぜか?MSワラントだと長期にわたり株価の上値を抑えるのでは?というネガティブな意見もでてきそうだ
- 実際に現状の当社株式の低い流動性では、株価の重しになることが懸念される。ただし、今回のMSワラントは行使期間が5年と長期戦となる。当社の場合、原発再稼働も株価上昇のカタリストとなる。原発再稼働が相場のテーマに浮上した際には当社株式の出来高も増加することが期待できる。そのタイミングで行使を進められるかがポイントになりそうだ
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