本日ライフネット生命保険(ライフネット)が公募売出を公表しましたのでその概要を解説します。公募と並行してauフィナンシャルホールディングス、三井住友カード宛に第三者割当増資も実施します
案件概要
- 総増資株式数(OA分にかかる第三者割当増資を含む):1,050万株(発行済の15%/EPS希薄化率13.1%)
- auフィナンシャルに1,926,100株(発行済の2.8%)、三井住友カードに40,14,000株(発行済の5.8%)
- auフィナンシャルは現状の持分18.3%を維持するのに必要な株数。三井住友カードは増資後の持分が5%になる株数
- 公募及びOAにかかる第三者割当により発行する株数は差分の4,559,900株
- 売出株式数:477,500株(発行済の0.68%)、売出人:野村證券
- 総公募売出株式数(OA含む):5,037,400株、規模:51億円(8/30終値1,015円基準)、出来高の10日分相当
- 条件決定日(最短):9/6(水)、払込期日(最短):9/14(木)、受渡期日(最短)9/15(金)
- 公募売出株式の一部は北米を除く海外投資家にも販売予定(臨時報告書を提出)
過去の増資実績
- 当社は、2020年、2021年にも海外公募増資を実施している
- 2020年の公募増資のEPS希薄化率は15.2%、2021年は12.9%。そして今回2023年のEPS希薄化率は13.1%
- 既存株主泣かせの希薄化率となっている
- 主幹事も2020年はメリルリンチ、2021年はゴールドマンと交代してきている
増資の資金使途は、過去の増資資金と同様に今後5年間の広告宣伝費となっている
- 今回の公募増資及び第三者割当増資で調達する約100億円の大半は広告宣伝費に宛てらられる予定。充当期間は2023年10月から2028年3月まで
- 一般的に公募増資の資金の充当期間は2-3年程度だが、本件は約5年分の広告宣伝費を増資資金で充当する形となっている
- ちなみに2021年に実施した公募増資もマーケティング費用としており、充当期間は2022年3月期から2026年3月期、2020年に実施した公募増資もマーケティング費用・システム開発費等で充当期間は2021年3月期から2025年3月期となっている
- 建前上は、過去の公募増資の資金を充当していないのに追加で公募増資を実施したことになる。発行会社は、これは新たな成長のための別の販売促進費と説明している
- 先行投資をした結果、十分なトップライン成長と株価上昇が達成できていれば文句は出ないだろうが、漸く株価が前回の公募価格の水準まで回復してきた矢先のおかわり公募増資だ
- 日経新聞で報道されている通り、日本の会計基準では一貫して経常赤字。フリーキャッシュフローも赤字が続いており財務的に厳しい中で公募増資をやらざるを得ないかったのが実情かもしれない
- 今回の増資の希薄化率は13%。日経の憶測報道が出たため、本日の株価は前日比で7.6%下落している。明日以降の株価推移も注目が集まりそうだ
- 因みに当社の株価は、今年の2月に1,447円の高値をつけて以降軟調に推移していた。市場は一定程度増資の可能性を意識していたのかもしれない
出処:当社の有価証券報告書