IPO,PO関係
ACSL(6232):海外公募増資を実施
案件概要
- 募集株式数:300万株(海外募集。ただし、北米を除く)
- 対発行済株式数:23.4%、EPS希薄化率:19.0%、対出来高:30日分
- 条件決定日:11/27(月)、払込期日:11/29(水)
- 資金使途:ドローン機体開発投資等
海外募集だが、英文目論見書を作成せず?
- 一般的に海外募集を実施する場合、オーバーナイト(または数日のマーケティング期間)で条件決定するパターンと、1-2週間のマーケティング期間を経て条件決定するパターンがある
- 前者の場合、英文目論見書を作成しない場合があるが、後者の場合、原則英文目論見書を作成して海外投資家向けにIRミーティングを実施して勧誘する(ディール・ロードショー)
- 英文目論見書を使用した場合は、臨時報告書の添付書類とする必要があるため、EDINETでその内容を確認することが可能だ。ところが、今回の案件では、特段英文目論見書を作成していないようだ
- マーケティング期間を伴う海外募集を行う場合、訴訟リスクの観点から英文目論見書を作成し、入念にリスク情報を投資家に開示したうえで勧誘する。大手証券会社の場合、原則英文目論見書の作成を前提に引受・勧誘を行う。
- 今回は英文目論見書なしで海外募集を実施するようだ。当社のような赤字ベンチャーで英文目論見書なしでは、日系・外資系の大手投資銀行では到底引き受けられない案件と考えられる
2023年2月に発行したCBはMS型であり、将来希薄化する可能性あり
- 当社は2月にファンド宛に新株・CB・ワラントを発行している。CBとワラントは、株価が大きく下落したため、転換・行使が進んでいない。行使が進まず想定通りに資金調達ができていないことが、今回公募増資を実施した要因と考えられる
- CBの額面は約14億円、下限転換価額は827円となっており、最大で1,680,169株(対発行済の13.1%)の希薄化が発生する
- 次回の転換価額修正は2024年2月6日。時価から10%ディスカウントされた転換価額に修正される(下限転換価額は827円)
- ワラントの行使価額は、1,985円で潜在株式数は920,500株(対発行済の7.1%)となっている。現状の株価は行使価額から大きく下落しているため、本ワラントが行使される可能性は極めて低いといえる
- 以上のことから、今回の公募増資とCBをあわせて最大で対発行済の36.5%の希薄化を想定しておく必要がある。公募増資に参加する投資家の主体はヘッジファンドになることも想定され、明日以降相応の株価下落インパクトが発生すると思料
11/27に条件決定:実質オアシスへの第三者割当増資?
- 当初予定していた300万株から150万株に募集株式数を減株
- 発行価格:911円(ディスカウント率:9.98%)
- 引受価額:878.11円(引受手数料率:3.25%)
- 公表から条件決定日まで株価は8.1%下落
- POで募集株式数を減少させることは極めて珍しい
- 人気がなかったのでは?と憶測を呼ぶため
- 主幹事証券にとっては、募集株式数の減額は販売力がない?投資家の需要を見誤った?という評価になり不名誉であるため、実質コミットできる発行株式数を提案するのが通例
- 今回、149.9万株はオアシスが保有する予定とのこと。実質全量をオアシスに配分するようだ
- 募集という形態をとっている以上、オアシス以外の投資家から需要があった場合、他の投資家にも配分することになる
- 募集株式数を300万株から150万株に減株したということは、他の投資家からは全く需要がなかったと推察される
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-ACSL, PO, 増資, 概要