安楽亭が公募増資を公表しましたので、その概要を解説します
案件概要
- 公募株式数:172,500株(オーバーアロットメントによる売出しを含む)
- 規模:13億円相当(9/6終値7,670円基準)
- 発行済株式数の8.1%、EPS希薄化率は7.4%、出来高の90日分
- 条件決定日(最短):9/13(水)、払込期日(最短):9/21(木)
- 資金使途は、アークミール事業への業態転換を図るための店舗改装資金、無人化等のDX投資
- アークミール事業:ステーキのどん、フォルクス、しゃぶしゃぶどん亭
- 現状アークミール事業の業績が相対的に好調。既存の安楽亭(焼肉屋)から業態変換することで業容拡大を狙う
株主優待の権利取りのタイミングに合わせて公募増資を実施することで、需給悪化の影響を極小化する狙い
- 当社の日々の出来高は2,000株程度で流動性が低い。かかる状況下、本公募増資により17万株の株式が流通することになるため、需給悪化が懸念される
- 当社のような優待人気銘柄の場合、POのタイミングを優待の権利取りのタイミングに合わせることで、需給悪化の影響を極小化することが可能だ
- 今回の公募増資の株式は9/22(金)から売買されるが、直後に優待権利取りのイベントが控えている
- 当社の場合、3月末・9月末は出来高が優待取りの取引により出来高が急増する。これにより、需給悪化の影響が緩和される
- 当社の株主優待の内容を以下の通り。時価総額160億円、配当無しの企業にも関わらず7,000人以上の株主が存在する人気銘柄だ(詳細は当社URLを参照)
- 100株以上所有: 13,000円(税込)相当の株主ご優待券1冊(500円割引券を26枚)及び20%割引券を6枚
- 200株以上所有: 26,000円(税込)相当の株主ご優待券(13,000円相当の株主ご優待券2冊)及び20%割引券を12枚
増資を実施する背景:コロナ禍で毀損した財務を立て直しつつ成長投資を実施(前期営業赤字からのV字回復を狙うストーリー)
- ご存知の通り、当社は外食関連銘柄であり、コロナ禍の影響で自己資本は大きく毀損している状況だ
- 2019年3月期の自己資本比率は39.5%だったが、2023年3月期には23%まで低下
- また、業績も(コロナの影響もあり)3期連続営業赤字だったが、ようやく今期は営業黒字になる見込み
- 構造改革を経て、赤字を脱却。公募増資の資金使途にある通り、業態転換を進めることで業績が改善
- 足元は、リオープン効果で外食産業全般好調となり、事業環境も追い風だ
- 厳しい状況が3年ほど続いたが、漸く投資家に納得してもらえる公募増資ができる環境が整ったと会社側が判断したのだろう