プラスアルファ・コンサルティングがプライム昇格と同時に売出しの実施を公表しましたので、概要を紹介します
最近売出しでも様々な形態の案件が出てきておりますが、当社が海外売出しではなく、国内売出しを選択した背景ついても合わせて考察しました
売出しの概要
- 売出株式数:1,092万株(約340億円)、発行済対比:26%、1日平均出来高の50日分相当
- 条件決定日(最短):7/18(火)、受渡期日:7/28(金)
- 売出人はVC(野村キャピタル・パートナーズ)と経営陣。本売出しにより、V Cは完全にエグジット
- 7/28の受渡日に東証グロースからプライムに移行する予定
- 先日、ライフドリンクCがプライム移行と同時に売出しを実施したが、基本的な形態は同じ
- 当社、同日に臨時報告書を提出。その内容によると売出株数の最大半分を海外投資家(北米を除く)に販売予定
- 条件決定日に何株を海外投資家に販売したのか開示される
- 海外機関投資家への販売株数は、当社の注目度・投資対象としての将来性評価に直結する可能性があるため、要注目
- なお、一般的な国内売出しでは、売出株数の1-2割を国内外の機関投資家に配分する傾向あり
売出しを実施する背景
- VC側の売却意向に応じて売出しを実施
- 当社は、2021年6月にIPO(IPO価格は2,300円)
- IPO直後のVCの持株比率は20.14%
- VCは2022年8月と11月にブロックトレードで株式の一部を売却しており、持分を15.16%、12.18%と落としてきた経緯がある(出所:大量保有報告書)
- 今回の売出しにより保有株を全て売却することになる
- 発行会社側は、売出しにより流動性向上、機関投資家をはじめとした株主層の拡大を期待
- 複数回のブロックトレードを実施していることもあり、機関投資家にも認知されている
- 当社の人材活用サービスは急成長しており、投資対象として投資家の関心も高いと想定される
- 一方、浮動株が少ない=流動性が低いことが、機関投資家から見て投資対象の足枷であった
- 今回の売出しで流動性が向上すれば、機関投資家の投資対象になり得る(且つプライム銘柄となる)
海外売出しではなく、国内売出しを選択した理由について考察
- 国内投資家への知名度向上、既存株主への投資機会の提供
- 時価総額拡大に伴い、海外機関投資家の取り込みは株主政策上重要である一方、上場間もない新興企業にとって、個人投資家への知名度向上も重要な経営課題
- 当社においても、機関投資家だけということはなく、幅広い投資家に株主になってもらいたいという意向があると推察される
- 当社には、22年9月末現在で約5,000人の個人株主が存在。発行済の25%相当を保有
- 22年9月末現在の大凡の株主構成は、経営陣➕VCで65%、機関投資家10%、個人25%
- 22年9月末以降にアセットマネジメントOneが新たに5%保有、野村AMも買い増ししていることから、徐々に機関投資家保有割合は増えているが、現状は、機関投資家よりも個人投資家の方が保有割合は大きい
- 当社の株主構成に鑑みると、最大の株主属性である国内個人投資家を含めて、幅広い投資家に対して公平に投資機会を提供する意味は大きいと考えられる
- 規模的に海外売出しは不向きと考えられる
- 今回の売出しは、規模が出来高の50日分と大きい。流動性の低い時価総額1,300億円の株を340億円売るには相応のディスカウントと株価インパクトが発生するため、そもそも海外売出しは選択しにくい
- この規模の株式を確実に販売するには国内投資家へのアプローチが必須と考えられる
- 時価総額が同規模のM&A総研は海外売出し(英文目論見書を作成せず、数時間のマーケティング、オーバーナイトで条件決定)を実施したが、売出しの規模は出来高の3日分であり、本件とは大きく異なる
- ソシオネクストの海外売出し(英文目論見書を作成の上海外機関投資家に数日間マーケティング)は規模こそ2,700億円と大きいが、こちらも流動性が高く出来高の3日分、時価総額も6,000億円規模と一回り大きい
- 国内一般投資家は、証券会社の営業努力で安定的に需要を創出できる投資家層であり、日本のPO/IPOにおいては主体的な役割を果たしている
- 銘柄にもよるが、300-500億円は安定的に需要が創出できると言われている(民営化案件や高配当銘柄のIPOでは1,000億円を超える需要が創出される)
- 本件においても、国内一般投資家からの需要は問題なく喚起されると考えられる