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レーサム(8890):自己株TOBと公募増資を同時に公表(Part2)

株式会社DMM.com証券

レーサムが公募増資の実施を公表しました。当社は9/19に自己株式のTOB及び公募増資の発行登録を公表していました。大株主から自己株式を取得し、その後に公募増資を実施するスキームの一環として、今回の公募増資が行われます。全体のスキームの概要については、過去の記事(下記のリンク先)を参照ください

公募増資の概要

  • 募集株式数:   2,841,700株(オーバーアロットメントによる売出しを含む)
  • 規模:96億円相当(11/17終値3,385円基準)
  • 対発行済株式数(自己株消却前ベース):9.77%、出来高の28日分
  • EPS希薄化率:理論上は自己株取得株式数と同じのため希薄化は発生しない
  • 条件決定日(最短):11/28(火)、払込期日(最短):12/4(月)、受渡期日(最短):12/5(火)
  • 資金使途:今期の不動産仕入れ物件の取得開発費用に充当予定

11/28に条件決定

  • 募集価格:3,076円(ディスカウント率:4%)
  • 引受価額:2,915.75円(引受手数料:5%)
  • 公表から条件決定日まで株価は、5.3%下落(同期間のTOPIX騰落率は、-0.6%)

元会長から取得した自己株式の取得単価は3,161円

  • 今回の公募増資は、1株あたりの払込金額がポイントになるだろう。発行会社が元会長の資産管理会社から買い取った価格は3,161円だ
  • 3,161円より低い払込金額となった場合、既存株主が負担した構図になる
  • 一般的に公募増資では、投資家へのディスカウントと引受証券会社への手数料をあわせた7%が控除される。本日の株価3,385円を基準に7%控除すると想定払込金額は3,148円となる。既に自己株取得価格より低い水準だ。。
  • 今回の増資は事前にスキームを公表しているため、理論上新たな希薄化は発生しない。ただし、出来高の28日分相当の株式が市場に流通するため、需給悪化要因で株価は下がる可能性がある。最終的にいくらの払込金額になるのか注目したい

なぜ自己株の公募ではなく新株を発行するのか?

  • 今回のスキームの疑問点として「なぜ取得した自己株をそのまま活用しないのか?」が挙げられる
  • 当社は取得した自己株式を消却したうえで、新たに同数の新株を発行する。このことにより、以下のコストが余計に発生する
    • 増加する資本金に対する登録免許税:100億円の増資の場合、資本金が50億円増えるが、それに対して0.7%の税金が発生する(=3500万円のコスト増)
    • 東証に支払う手数料:自己株処分の場合は、募集総額の0.01%で済む一方、新株の場合は0.09%となる。100億円の募集の場合、800万円のコスト増となる
  • 筆者の感覚としては、上記のような余計なコストを支払うことを回避するために、自己株を処分すればよいのでは?と感じる次第だ
  • 意地悪な見方をすると、自己株処分の場合、自己株取得価格>自己株処分価格となると、自己株処分損が発生する(損益計算書には反映したいため、株価への影響は限定)。自己株処分損が発生すると見栄えは悪い。なぜ高い値段で特定の株主から自己株取得しておいて、安い価格で処分するんだ?というクレームを誘発する。そうならないように自己株取得・消却と新株発行は全く別の取引として切り離したかったのかもしれない。本当の理由は当事者間にしか分からないため、あくまで推測である点ご留意いただきたい

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