IPO,PO関係
浜松ホトニクス(6965):トヨタが売出し(PO)を通じて全量売却
- トヨタが積極的に政策保有株の売却に動いている。夏休み明け、ヤマハ発動機に続く売却案件
- 売出しの公表に合わせて、自己株式の取得枠を拡大している
- 従来280万株(100億円)であった枠を、650万株(200億円)に増額
- 金額ベースで売出の3分の2に相当する。需給緩和効果は相応にありそうだ
- また、すでに9月末を基準に1:2の株式分割を実施する旨公表している。受渡直後に株式分割の効力が発生する
9/9に条件決定
- 売出価格:3,278円(ディスカント率:3%)
- 引受価額:3,142.8円(引受手数料率:4%)
- 公表日から条件決定日まで株価は13%下落(TOPIXは4.9%下落)
野村證券が売出人となる二段階売出しスキームを採用
- 今回の売出しにおける売出人は、正確にはトヨタではなく野村だ。野村はトヨタから取得した上で売出人となって売出しを実施する
- なぜ、このような回りくどい手法を採用するのか?そこには金商法上のルールが関係している
- 金商法上の売出しにおいて、売出人になれる株主は限定的に列挙されている
- 10%以上を保有する株主(主要株主)、設立発起人、会社関係者(役員)、登録金融機関
- トヨタは上記のいずれにも該当しないため、売出人になれない。そこで(登録金融機関である)野村がトヨタの代わりに売出人となって売出しを実施することで法的な手当をしている
高収益の優良銘柄だが、足元の株価はTOPIXを大きくアンダーパフォーム
- 株価は2023年6月以降、下降トレンド入り。TOPIXを大きくアンダーパフォームしている
- 2024年5月の2Q決算発表時に業績を下方修正している。元々在庫調整の影響で減益予想だったが、減益幅が拡大
- 今年の5月以降、大株主のキャピタルリサーチが保有株を売却(大量保有報告によると5月:7.59%→7月:4.24%)
- ブラックロックは6.2%保有しているが、大量保有報告書ベースでは現時点で売却の動きはなさそうだ
中長期的には安定成長が見込まれる
- 当社は、2026年9月期を最終年度とした中計を公表している。元々今期は在庫調整の影響で減益を見込んでいたが、来期は業績が回復し、成長トレンドに戻るとしている
- 特に産業用機器:半導体関連事業が成長の鍵を握りそうだ
- 四季報ベースの来期予想PERはx20程度まで下がってきている(島津製作所の来期予想PERはx23.9)
- 4Qの決算発表は11月だが、そこで業績の底打ち感が打ち出し、中計通りの成長ストーリーが描けるようになれば、株価の反転が期待できそうだ
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