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テスホールディングス(5074):ESG認証を取得した上で増資を実施した珍しい事例

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今話題のテスホールディングスのライツ・オファリングですが、ファイナンス手法に加えて、資金使途にも大きな特徴があります。サステナリビリティ・ライツ・オファリングと謳っています。流行りのESGファイナンスの一種ですが、エクティ・ファイナンスでESGを活用するのはレア・ケースです。

本日はテスホールディングスのESGファイナンスの特徴について解説すると同時に、なぜ増資でESGファイナンスをする意味があるのかを考察したいと思います

そもそもESGファイナンスは債券・ローン等のデットファイナンスを前提した枠組み。エクイティファイナンスには馴染まない

  • 近年ESGファイナンスが世界的に注目され、市場は急拡大している
  • 投資家側(特にデット投資家)が、自身の投じた資金についてESG(SDGs)に資するプロジェクトに投下されることを求めていることが背景
  • ESGファイナンスは主にグリーン/ソーシャル/サステナリビリティ・ボンド(ローン)の総称
  • 債券/ローンは、年限が決まっていて、満期に償還される。ESGファイナンスの一連の流れは以下
    • 資金使途がSDGsに貢献するプロジェクトかどうか、それをチェックして継続的にモニタリングしていくのがESG評価機関の役割である
    • 債券投資家は、予め決まった年限で、資金使途が明確化され、その使途についてESG評価機関がお墨付を与えたものに投資する
    • 期中ESG評価機関は、資金が計画通りに充当されているのか厳格にモニタリングのうえ定期的に報告する
    • そして最終的に満期に償還される。債券投資家に資金が返済されるのである
  • 一方、増資の場合は、債券・ローンと比べ決定的な違いがある
  • 投資家からみて増資資金は返済されないので、実際何のプロジェクトに使われたのか、お金に色はないため、曖昧になる
    • 新株発行時に資金使途を開示するものの、償還期限がなく、会社の自己資本に組み込まれる
    • 自己資本であるため、基本的には会社が自由に使える資金となる
    • 性悪説にたつと、増資時に資金使途でESGに資するプロジェクトですとアピールしつつ、別のプロジェクトで化石燃料を大量に燃やすプロジェクトを実施することもできる
    • お金に色はないので、ESG認証の取得は困難である
  • 従って、ESGファイナンスは、原則デットファイナンスを前提として出来たフレームワークであり、エクイティ・ファイナンスを想定したものではないのである

なぜテスホールディングスは増資でもESGファイナンスが実施可能なのか?

  • 前述の通り、ESGファイナンスの枠組で増資することは困難であり、事例も少ない。ではなぜテスホールディングスは、増資においてESG認証を取得できたのか?理由は以下2点と考える
  1. 会社が営む事業そのものがESGの枠組みに合致する
    • 当社は、再生エネルギーの発電事業のピュア・プレーヤーである
    • つまり、会社事業そのものがグリーン、ソーシャル、サステナビリティの要件を満たしていると言える
    • その前提のもとで今回の増資資金について資金使途を明確にした上で、ESG評価を得ている
    • 評価機関のレポートは当社ホームページに開示されているので、詳細はURLリンク先を参照いただきたい
    • 本件ではSGDsの以下項目の達成に貢献できると評価している
      • No7.2:2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能なエネルギーの割合を大幅に拡大させる
      • No12.5:2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する
      • No8.5:2030年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する
  2. 当社は2021年4月のIPO時にも同じ枠組みでESG評価機関より認証を得ている
    • 当社はIPO時の資金調達に際しても同様の枠組みを採用している
    • 従って、今回の資金調達でも同じ枠組みを活用することは容易だったと推察できる

企業がエクイティ・ファイナンスにおいてESG認証を受ける背景について考察(私見)

  • 株式投資家から見ると、わざわざ増資資金の使途にESG認証をつける意味は全くない
    • 会社の事業内容と経営者を見てESG評価するのであって、資金使途だけで評価するものではないため
  • では何故わざわざ増資においてESG認証を受ける必要があるのか?
  • 残念ながら明確な答えはないし、前述の通り実施に際してもハードルがあるため、事例は少ないのが実情である
  • エクイティファイナンスにおいてESG認証を取得することに前向きに検討していた某経営者から、以下のコメントをいただいたことがある。私の印象に残っているし、何かしらのヒントが隠されていると思うので紹介したい
    • 従業員に自社の事業・プロジェクトが具体的にどのSDGsに貢献しているのか、徹底的に議論してほしい
    • そして、それをどのように社内外にアウトプットするのか考えることが各自のレベルアップに繋がる
    • この資金調達を通じて、自分達の働く会社に誇りを持って欲しい(そういうメッセージを社員に送りたい)
  • ESGファイナンスは株式投資家向けのIRだけではなく、全ステークホルダー向けのPRとして有意義だとその経営者は考えており、ハッとさせられた
  • テスホールディングスがなぜESG認証を取得したのか、知る術はないが、いい意味で何かしらの強い拘りがあることは想像できる

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