ウィブル証券株式会社

IPO,PO関係

GENDA(9166):将来のM&Aを目的に海外募集・売出し(PO)を実施

株式会社DMM.com証券

7/17に条件決定

  • 募集価格:2,042円(ディスカウント率:3%)
  • 払込価額:1,940.92円(引受手数料率:4.8%)
  • 案件公表から条件決定まで株価は2.5%下落(TOPIXは0.37%上昇)

増資を実施する背景

  • 当社は、2023年7月にIPOしており、約1年ぶりのエクイティ・ファイナンスとなる
    • 公開価格:885円(分割調整)に対して、現状の株価は2.4倍に上昇
    • IPO時の主幹事証券はSBI、SMBC日興だったが、今回は2社に加え、シティ・グループ、みずほが参入している
      • SMBC日興は、直前の音通社のM&AのFAに就任しているにも関わらず、ファイナンスではポジションを落としている(理由は不明)
  • 当社は、「エンタメ業界でのM&Aによる連続的な非連続な成長」を成長戦略の柱としている。文字通り積極的にM&Aを実施しており、IPOから1年しか経過していないにも関わらず既に19件のM&Aを執行している
  • 継続的なM&Aを実施してきていることから、自己資本比率は2024年1月期の37.2%から2024年4月末には26.3%に低下していた(のれんも50億円から111億円に増加)
  • また、8月には音通(7647)を50億円でTOBする予定だが、全額借入金で賄う予定のため、さらに自己資本比率は低下する見込み
  • M&Aは基本的にデットファイナンスで実施する方針としているものの、今後の成長加速には強固な財務基盤が必要だったのだろう
Screenshot
  • 一般的に公募増資の資金使途を使い道のわからないM&A資金とすると投資家が敬遠するため事例は少ない。ただ、当社の場合、例外だろう。成長戦略そのものがM&Aであり、実績があるためだ
  • なお、資金使途を将来M&A資金とした場合、理論上はM&Aに充当されない可能性がある。従って、M&Aがなかった場合の代替資金使途を記載することが(日本証券業協会の自主規制ルールで)決まっている。当社の場合、代替資金使途として借入金返済としている。一見???な印象を受けるかもしれないが、そもそも当社の場合、M&Aを実施する蓋然性が高く、あくまで開示ルールに対応するためこのような記載となっている

なぜ海外募集?

  • さくらインターネット(高ボラティリティ・過剰流動性銘柄)と事情が似ている?
  • 資金使途も将来のM&A資金でわかりにくいため、機関投資家を対象とした方が無難という考えた可能性がある
  • 当社の今期業績予想は、M&Aを想定しない前提で策定されたものだ。従って、業績予想も変更される可能性が相応にある。業績予想が修正される蓋然性が高い場合、国内公募増資は引受審査の観点から実施しにくい場合がある
  • 或いは機動性を重視した可能性もある。海外POの場合、突貫工事でやれば準備開始から公表、払込完了まで2ヶ月程度で実施可能だ。PO実施に際しては、主幹事証券のデューデリジェンス(引受審査)が必要となる。その間、業績に影響を与えるようなM&Aを止める必要がある(該当するものがあれば、一旦白紙にするか、開示した後にPOする必要がある)。M&Aのコーポレートアクションが制限される期間を少しでも短くするために海外POを選択した可能性も考えられる
    • その観点からは、MSワラントを選択する企業も多い。MSワラントは最速1ヶ月程度でできてしまうため、年中M&Aを実施している企業にとっては、(詳細なDDが必要な)POよりも機動性のあるMSワラントを選好することもある
    • ただ、当社のCFOはゴールドマン出身だ。米系大手投資銀行出身者は、MSワラントを選択することを避ける傾向があるかもしれない(あくまで筆者の印象)

2040年までに世界一のエンタメ企業になることを目指す

  • 当社は、2040年までに世界一のエンタメ企業を目指すことを目標にしている。従って、今後も継続的にM&Aを実施していくだろう。また、大型化していくと予想される
  • 今回の調達資金は、使途未定であはあるものの、下記のとおりゲームセンター・カラオケ・映画関連領域で当社の企業価値向上に資する対象会社の買収に活用されるだろう(3つの市場を足し合わせると1兆円超のTAMが存在)
  • 上場して1年しか経過していないが、意欲的な成長ストーリーが評価されており、株価は堅調に推移。今期予想PERもx30台で、同業(コシダカHD、第一興商、ラウンドワンなど)のPERx10倍台に比べ高いプレミアムが付されている
  • 実は、ゼンショーも貧困をなくすために世界一の外食企業になることを目標に掲げており、積極的なM&Aで業容拡大してきた歴史がある。10-15年後にエンタメ業界のゼンショーのようになるポテンシャルはあるのかもしれない
Screenshot

Follow me!

auカブコム証券

X(旧Twitter)のフォローお願いします

-IPO,PO関係
-, , , ,

PAGE TOP