本日はMSワラント発行企業の投資に対する考え方について考察してみました
結論は以下3点と考えます
- ファンダメンタルズ(過去の株価推移、業績が堅調)が良好な銘柄であること
- MSワラントの潜在株式数が1日平均出来高の20日以内の案件であること
- エントリーは、発行直後(株価が下がっても、我慢)ではなく、行使比率が50%を超えたあたりを狙うこと
その結論に至った背景と考え方を、以下の通り、まとめてみました
一般的なMSワラント発行企業の株価推移の特徴
- 公募増資に比べて短期的には株価下落はマイルド
- 公募増資は発行決議から条件決定日の1週間で株価が大きく下落
- 公募増資は、条件決定日にかけて空売りが急増して売り込まれることがあるため
- MSワラントは行使日が特定されず、行使期間が長期になるため空売りを仕掛けにくい
- 行使期間中は随時株式の受給悪化が起こり得るので上値が重くなる
- MSワラント発行🟰希薄化を伴う信用買残が大量に発生しているのと同義
- よって、株価が上昇局面に入っても随時行使が進むため、株価の上値は重くなる傾向
- 行使比率が高まるにつれて受給悪化要因が緩和され株価が上昇しやすくなる
上記を踏まえ、1️⃣どのような企業が有効な投資対象とすべきなのか、2️⃣どのタイミングでエントリーするかについて深掘りして考察
1️⃣どのような企業を投資対象とすべきなのか
以下のように明らかに財務的に問題のある企業は基本的に避けるのが賢明
- 財務的に問題があり、背に腹は代えられない状況でMSワラントを発行している企業は、MSワラントで資本調達しても、簡単に問題解決はせず長期に渡り株価が低迷することが多い
- できるだけ資本を取りたいため、潜在株式数が発行済株式の2割を超えるケースが多い
- 結果、出来高対比で過大な発行規模となり、長期にわたって株価が低迷する可能性が高い
- 発行規模に加え、割当先が証券会社ではなくファンドの場合、財務リスクが高いケースが多い
- ファンドへのMSワラント割当案件は、主幹事証券が断るほど厳しい状況にある可能性
当然ではあるが、ファンダメンタルズが良好な企業を対象とした方が勝率が上がる点は、MSワラント発行企業についても同様
即ち、以下の企業を見極めることが肝要
- 過去の株価チャートが上方トレンドを形成しており、業績も堅調な会社
- 該当する会社・経営陣は、将来の株価に自信があり、敢えて公募増資ではなくMSワラントを選択することも
- 公募増資は、特定の日の終値を基準に発行価格を決めるため、狙い撃ちされやすく必要以上に株価が下がる恐れがあることが要因
- 特にオーナー企業(経営者が大株主)の場合、MSワラントを選択することが多い印象あり
- 流動性が高く、潜在株式が1日平均出来高の20日以内のMSワラント発行企業
- 出来高が20日以内の案件は、行使が1〜3ヶ月程度で完了する事例が多い
- したがって、比較的早い段階で受給悪化要因が緩和されエントリーしやすくなる
2️⃣どのタイミングでエントリーするのが良いか
- MSワラントでうまく行使が進んでいる案件は、後半にかけて加速度的に行使が進むケースが多い
- ファンダメンタルズが良好な企業の場合、MSワラントの潜在株にかかる受給悪化要因は、行使が進むにつれて正のサイクルで加速度的に改善していくため
- 従って、月初に開示される行使進捗率を辛抱強くモニターし、行使比率が50%を超えてきたタイミングからエントリーを開始すると株価反転・上昇局面の波に乗りやすいと思料
マースグループHDのケースに当てはめて考察
- 当社は財務リスクもなく、業績も回復傾向、今年に入り株価も堅調に推移
- 潜在株式数も出来高の20日相当のため、流動性基準は一応クリア
- 従って、行使割合が過半を超えたタイミングでのエントリーは検討に値する
- なお、そもそも論として、当社は本当にMSワラントが必要なのか?という議論は市場にある
- MSワラントを嫌う機関投資家は多い。当社の場合、機関投資家の保有はそれほど多くないが、大株主にフィデリティ(22/3期有報によれば大量保有報告書ベースで4%程度保有)が存在
- 機関投資家が見切りをつけて売却した場合、株価に影響が出る可能性がある点にも留意が必要(ただし、下がったら買いのチャンスとも言える)